スイカは割っていい

食べ物を粗末にしてはいけない。

多くの人が小さい頃から身につけている感覚だと思う。

でも「スイカ割り」なぜか許容されている。

もちろん割った後にスイカを食べているので、無駄にはしていないという見方もできる。

でも割った時にだいぶ破片は散っているし、形もいびつになるので普通に切って食べるより無駄にしている部分は多い。

そして、そもそもの話し、食べ物を棒で叩き割るという行為が普通に許されているのが少し納得がいかない。

だけどそんなことは気にしていたらスイカ割りは楽しめない。

習慣や文化は時に恐ろしいものだとも思う。

「みんなで海に行って、目隠しをして、自ら目を回して、スイカを棒で割る」

この一連の流れになにも疑問を抱かない。

外国人がこれを見たらどう思うのだろう。

水着姿の女性が目隠しをして、ぐるぐる回った後、棒を振り上げて奇声をあげる。

その周りには囲むように男たちいて、嘲笑しながら掛け声をかける。

割って床に散らばったスイカをみんなで拾って食べて分かち合う。

だいぶクレイジーな姿に見えるだろう。

アフリカ奥地に住むような、原住民の不思議な儀式を見た時と同じ気持ちになるかもしれない。

でもスイカ割りを始めた人はすごい。

まず、なぜスイカなのか。

地域性か。

青森ならリンゴで、愛媛ならミカンなのか。

これではいかんせん的が小さい。

ではキャベツやカボチャならどうだろう。

割った後に食べたくなる気持ちがあまり湧かないと思う。

味、値段、大きさ、ビジュアルの全てを考慮して選ばれたツワモノ、それがスイカ。

素手で割るパフォーマンスに使われたり、早食いをしてギャグに使われたり、種を飛ばして遊んだりもするスイカ。

中をくり抜いてオブジェにしたりも出来るスイカ。

JRのカードの名前にも使われるスイカ。

知らないうちに私たちの生活はスイカにだいぶ助けられていたようだ。

最近は忙しさ言い訳にして、そんなスイカへのリスペクトが忘れてかけていた。

近いうちにスイカを割ろうと思う。