ジャングルに潜む魅力

五感は大事である。

視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚。

この五つの感覚は日々の生活には欠かせない。

そして、異性にアプローチをするときにはもっと欠かせない。

先に断っておくと、触覚は最後にお互いの肌を激しく触れ合わせる時にすごく重要になる。

だが、その触れ合いに到達するまでの道のりは長く険しい。

男にとってそれは、ジャングルの中の獰猛な生物を手なずけるのと同等の試練である。

つまり冒険だ。

冒険ではまず、視覚を駆使するとこから始まる。

目利きをして獲物を定める必要がある。

これは誰もが自然に、常日頃からやっているので特に言うことはない。

「ジャングルでは暗闇に気をつけろ」とだけ言っておく。

次は嗅覚。

匂いだ。

これは意外とおろそかになりがち。

相手の香ばしい匂いに気をとられしまい、自分の匂いには配慮が届いていない。

ジャングルの生き物達の嗅覚は鋭い。

少しでもクサいと即アウトなので常に清潔を保つ必要がある。

なので、ジャングルに挑む前にはシャワーを浴びるのが礼儀。

「ジャングルに入ればどうせ汚れるし」と思ってはいけない。

ジャングルを舐めるな

少しの油断が命取り。

それがジャングルだ。

そして味覚。

「胃袋を掴め」とよく言われるように、相手の味覚を奪うのも需要なポイント。

とりあえず上手いメシを与えれ続ければいい。

ジャングルの獰猛な生き物たちもこれには弱い。

甘い物をちょくちょく挟むと効果は倍増するぞ。

最後は聴覚。

ジャングルの生き物を声で呼び寄せる時には、できるだけ素敵な声を出すように心がけよう。

渋い声もいいが、安心感のある声の方が実はウケがいいらしい。

でも聴覚で一番重要になるのは実はそこではない。

ジャングルでは大きな物音が致命傷になること知っておく必要がある。

例えば、ある男が相手の味覚を奪う為に高級レステトランへ誘ったとしてみる。

ここまで来るのに男はかなり頑張った。

あと一歩で冒険は無事フィナーレを迎える。

触覚の出番はもう少しだ。

幸いお店のごはんは評判通り美味しいし、会話も弾む。

レストランの照明も手伝って、大変良いムードになる。

男は最初は緊張していたけど、お酒が入ったこともあって心に余裕が生まれる。

余裕と同時に隙も生まれる。

そんな時に、二人の前にパスタが運ばれてきた。

まずいぞ。

ジャングルの中では大きな音が命取りになることを男は完全に忘れている。

だが哀れな男は豪快にパスタを頬張ってしまった。

 

「ずるずるずるーーー」

 

パスタをすする音が静かな店内に響き渡る。

熱々のパスタとは反対に、対面にいる女性の顔は冷きっている。

どうやら男の方がジャングルのケモノに成り果ててしまったようだ。

冒険はここで終わりを迎え、ケモノの手元には高級レストランの請求だけが残された。