日本語が苦手な日本人

この前エレベーターに乗っていた時の出来事。

エレベーターの中には私の他に、サラリーマンが2人乗っていた。

この2人は同僚らしい。

言っちゃ悪いけどその2人は、いわゆる窓際族っぽい、あまり仕事が出来なさそうな、少し頭がハゲ散らかった60歳前後のオジさんだった。

「最近の若者は〜」的な愚痴を言いそうな雰囲気を醸し、若い人たちから「老害」と呼ばれていそうな感じがビンビン伝わってきた。

こんな感じの人たちなので、言葉の使い方はだいぶ拙い。

そしてなぜか、すごく疲れていた。

私とエレベーターを同乗している時に、片方のオジさんが疲れのあまりなのか、疲労感を強く漂わせた口調で急にこんなこと言い出した。

 

「最近ってさぁ、セクハラできないじゃん」

 

いや、昔からできませんよ。

でも言いたいことは分かる。

「最近って、何をしてもセクハラになるじゃん?」と言いたいのだと思う。

一緒にいるオジさんがそれを理解しているのかは分からないけど「そうだよなー」と同意していた。

髪の毛と言葉の使い方がだいぶ散らかったオジさんは、続けてこう言い出した。

 

「あと、パワハラもできないじゃん」

 

いや、それも一応昔からダメですよ。

確かにセクハラと比べてパワハラの方がある程度許容さている時代も長かったと思うし、今もそれなりにあると思う。

学校の先生が「昔は生徒を思いっきりぶん殴れて最高だったよな」と言っているのに似ている。

たぶんこれも「今って、何をしてもパワハラになるじゃん」と言いたいのだと思う。

日本語の使い方がだいぶ暴力的になっている。

雑な日本語を駆使するオジさんは、落胆した様子で最後にこんなことを呟いた。

 

「どうすればいいんだよ」

 

悩んでいる。

「セクハラとパワハラが俺の得意分野だったのに・・・」みたいな落ち込み方をしている。

この人は今まで会社で何をしていたのだろう。

「セクハラ部長」もしくは「パワハラ専務」とかの地位を社内に確立していたのだろうか。

そうだとすれば確かに「どうすればいいんだよ・・」的な気持ちになるのも頷ける。

「今後、このチームは機動力重視でいくぞ」と監督に告げられた、体のデカイ4番打者と同じ気持ちだと思う。

もしかしてあのオジさんは、新しいポジションを探すのに疲れていたのかもしれない。