カード社会が生んだ男「ファイルマン」

私は生活の中で少しでもネタになりそうな出来事と出会ったら、忘れないようにメモを取ることにしている。

しかしこの前、私の前で起きた出来事は、インパクトが強すぎてメモを取る必要すらなかった。

その日私は近所のスーパーに買い物に行っていた。

いつも通りの決まった食料などを選んで私はレジに並んだ。

レジで私の前に並んでいたのは50歳くらいのオジさんだった。

誰もが経験したことがあると思うけど、レジで自分の前に並んでいる人が財布からお金を出すのに手間取っていると少しイライラする。

「そんなに時間がかかるなら、もうカードにしろよ」と、キャッシュレス派の私はいつもイライラしてしまう。

そんな私の心情を察してか、現代のカード社会が生んだ男「ファイルマン」が突如私の前に現れた。

私の前に並んでいるオジさんに会計の番が回ってきた時のこと。

そのオジさんは自分が脇に抱えてるカバンに手を入れて、何やら物色し始めた。

 

「遅い」

 

瞬間的に私はそう思った。

自分にレジが回ってくる前に、財布は事前にカバンの中から出しておいてほしい。

しかしそのオジさんは、カバンの中から財布ではなくて別のものを出した。

カードファイルだ。

しかもでかい。

 

 

 

「どうした!?デュエルでもする気なのか!?」と私は混乱したが、違った。

そのカードファイルの中には多くの「買い物用カード」陳列されていた。

チラっと覗いた感じ、クレジットカードも数種類保有していた。

社会的信用度は高いらしい。

デュエルマスターの証だ。

しかし、これではかさばる。

現金からカードへの移行は持ち物をスリムにする為だとばかり思っていたけど、これでは逆にかさばってしまう。

私がそんなことを考えていると、デュエルマスターはおもむろにその店のポイントカードとクレジットカードを瞬時にファイルから選び出して、一瞬でバトルに蹴りをつけた。

強い。

多くの厳しい戦闘をくぐり抜けた者にしかできない手さばき。

ファイルのサイズとは正反対に、会計の方は非常にスリム。

一般のデュエリストが財布を落とした時は、「現金は諦めるけど、カードの再発行がめんどうだな」と、だいぶ軽率な発言をしてしまいがち。

しかしマスターがもしもこのカードファイルを無くしたら「再発行がめんどう」どころの騒ぎではないはず。

恐らくマスターにとっての「カードファイル」とは、自分の心そのもの。

「心の再発行」はなかなか難しいぞ。