待ち受け画面に切実な願いを込めた女

私は電車の中やエレベーターの中では、よく人の携帯電話を覗いている。

「プライバシー保護シート」みたいの貼ってあるとだいぶ見づらいけど、そういう人の携帯こそ意地になって覗こうとする。

あのシートは、私みたいな人間には逆効果なので、あれを携帯に貼る場合はよく考えてから貼った方がいいと思う。

 

 

自分の覗き行為について堂々と書いているけど、ご理解を頂く為に一応覗く理由を説明させてもらうと、「他人の情報を知りたいから」だ。

一点の曇りもないピュアな覗き行為。

その行為のお陰で私の元には大量のデータが蓄積され、今では「歩くビックデータ」の異名を自らが己に名付けるくらいビックな存在になった。

このビックなデータは使い方はまだよく分かっていないけど、日本企業の多くも集めたデータの使い道に悩んでいると思うので、私と状況は対して変わらない。

私が覗き行為をする理由をもう少しちゃんと説明すると、「最近の人がスマホで何をしているか」を知りたいからである。

私が電車やエレベータで見てきた中で、一番多かったパターンは「特に意味もなくスマホいじり、SNSは全部チェックしているので見るものも無くなって、既読済みのLINEをとにかくチャックする」だった。

現代人の忙しさを垣間見た気がした。

特にエレベーターだと短時間しかスマホをいじれないし、電波も悪い状況なので「意味もなく既読済みのLINEをチャックする」くらいしか出来ないのだと思う。

もちろんゲームをしたり、漫画を読んでいる人も多い。

特に電車ではこのパターンが多くて、「ツムツム」などのパズルゲームが短時間でプレイしやすいらしいので結構人気がある。

そんな覗き行為をしていたら、ある女性の待ち受け画面に私の目は釘付けになった。

待ち受け画面がカップルでのツーショットだったりする場合は「石を投げつけて2人の間にひびでも入れるか」と考えたりもするけど、その女性の待ち受け画面はそれとは違った。

 

 

「運気アップ」

そう書いてあった。

「運気をあげたい気持ち」が強くと伝わってくる。

どうやら待ち受け画面を神社の絵馬のように使うタイプらしい。

しかし私がその女性の身なりを見た印象では「運気」のかけらも無いように感じた。

髪がボサボサしてて、服にも清潔感がなかった。

そのせいで余計に待ち受け画面の「運気アップ」がすごく切実なものに感じられた。

 

「この人の運気がアップしますように」

 

私はその人の後ろでそう願った。