性病をもらいたい

 

「恥の多い人生を送ってきました」

 

太宰治の小説「人間失格」にでてくる、有名な言葉である。

失格っぷりがピンポイントに伝わってくる、素晴らしい言葉だと思う。

多かれ少なかれ、人は恥をかきながら人生を送っている。

でも逃げるのは恥だけど役には立つらしいので、世間が思う程、恥はそんなに悪くないのかもしれない。

 

恥の多い人生は、失格ではなくて、役に立ちまくるので人間的には合格。

恥なんかよりも、もっと悪いものがある。

見栄だ。

見栄は役に立たない。

「逃げるは見栄だか役に立つ」にはならない。

ならないどころか、逃げるのが見栄だと捉えてしまう思考がよく理解できないし、更に逃げながらも「まぁ、これも役立つし」と思う、偏屈な自己肯定ぶりが嫌い。

こういう奴こそ、人間失格だ。

でも、私もしょっちゅう見栄を張っているし、できればもっと張りたい。

性病をもらったことがある事にしたい。

「急になにを言い出すんだ、こいつ」と思うかもしれない。

しかし、「性病経験者」の称号は誉れ。

大人の階段を登った証だ。

一般的な大人の階段は恐らく、皆さんがすぐに想像する「それ」だと思うけど、「性病経験者」は階段なんか眼中にない。

エレベーター。

 

真の大人は階段を自力で登ったりせず、他力で自動的に登る(登らされる?)

「経験者」の良いとこは、まず試合数の多さが滲み出るところ。

運悪く、初試合で「経験者」になる人もいるけど、普通初めての試合は「防御」完璧のカテナチオなので、そんな失点はしない。

あと、試合数が多いだけでなくて、厳しい試合も沢山経験している感じが、またカッコいい。

しかも「防御」よりも攻撃重視。

危険な相手にノーガード戦法で挑む勇気。

カッコいい。

もちろん被弾はしている。

KOされていると言っていいかもしれない。

「こいつならガードいらねーわ」と思っていた相手が、意外とダメージが残るハードパンチを打ってきたのかもしれない。

でも試合数が多いからこその油断だ。

カッコいい。

「自分のダメージはすぐに直して、次の相手にはダメージを残さないスタイル」だと、相手とファイトした後も仲良くなれるし、ファンも増える。

次の相手にもちゃんと残すし、パンチドランカーになって、もう治らないとかは困る。

早く引退した方がいい。

ファンを幻滅させるし、次の相手も気の毒。

そんな奴とファイトをしそうになった場合は、逃げた方がいい。

逃げるのは恥だけど、アレだしね。