仕事が出来る人は自慢も上手い

ある程度の経験を積んでくると、大抵のことは予測できるようになる。

カップラーメンに注ぐお湯の量を、ジャストにヤカン入れることも出来るようになるし、恋人に対してどんな態度をとれば険悪なムードになるかも大体わかってくる。

「今日買ったこの新作のアイテム、いくらだと思う?」と聞かれて、そのおニューの品物の購買価格より、安めの値段を答えれば簡単に険悪ムードを得ることができる。

女性に対しては、「年齢は下に、値段は上に」なので覚えておこう。

テストに出るぞ。

他の予測できることの代表格と言えば、「己の自慢話する奴は大体クソ」というのがある。

これは簡単すぎるのでテストには出ないぞ。

でも、注意はしておけ。

「金持ち自慢」や「昔悪かった自慢」などは比較的ポピュラーなので、こいつらに遭遇しても己の表情を少しも崩さずにスルーすることが出来るけど、少し手強い別のタイプもいる。

「休みない自慢」や「寝てない自慢」は割と出現率が高い。

JAPANには特に多いと言われているタイプだ。

欧米にいるような背と鼻が高い連中は逆に、「睡眠ぐっすり自慢」や「バカンスでヤッホイ自慢」が好きらしくて、これは「金持ち自慢」と通ずる部分があるのでまだ分かりやすい。

しかしJAPAN勢は、己の「満ち足りてない部分」を自慢してくるので、油断してしまうと「それは大変ですね」などといらない労いの言葉をかけてしまう。

この返しをしてしまうと、さっきまでは守り一辺倒だったサムライブルーも、調子に乗りまくって「マジ半端ねー」ラッシュをかけてくるので、雑なロングキックだけでは防ぎきれなくなる。

でも、もっと注意が必要なタイプもいる。

「自虐と自慢のブレンドタイプ」だ。

あまり想像ができないと思う。

それのそのはず、絶対数がまず少ない。

数が少ない理由は、このジョブに就くにはそれなりの経験値と装備が必要になるからである。

「ネタ」という装備と、その装備を上手く自慢に変える「経験値」が不可欠になる。

魔法剣士みたいな高難易度なジョブなのだ。

魔法しか使えないと「ただの自虐」になってしまい、剣オンリーでは「ただの自慢」になる。

このタイプは、例えば「いやー、かなり久しぶりだけど、やっと彼女ができたよー」などという発言をしたりする。

ただの魔法使いなら「彼女がずっといなかった頃はひどかった」的な笑いのネタにするし、剣の使い手なら「今はあっちの剣も大活躍」的な自慢話にする。

魔法剣士は違う。

「彼女が出来るポテンシャルはずっとあったけど、あえて作らなかった俺」的な話にすり替える。

もちろん直接は言わない。

しかし随所で、今の彼女とのノロケ話しではなくて、彼女と付き合うまでにいた「彼女候補」みたいなやつの話しをフワッと挟んでくる。

もちろん直接は言わない。

「結果的に、今の彼女になった」みたいな雰囲気を、過去の女性の失敗談にフワッと挟んで、自虐と自慢の間を的確に突き、相手に少しずつ、しかし確実にダメージを与える。

攻撃をしながらも、自分には回復魔法を使って上手に立ち回り、どちらかに偏らないようにするのだ。

こういう奴はマジでうぜーけど、ツエー。

いや、ハンパねー。