歌手を見る基準は「口パク」と「息切れ」

ここ最近ミュージシャンの人たちを評価する基準が変わっている。

特に激しく踊ったりする、アイドル系の人たちには、キャッチャーの後ろで厳しくストライクゾーンを判定するアンパイアのような連中がうじゃうじゃいる。

「口パクだから、ボール」

「生歌だけど音程がイマイチ、ボール」

「踊りにキレがないし自分が可愛いと思いすぎ、ボール」

「整形じゃん、ボール」

 

すぐファーボールになる。

最後に1球なんて、パフォーマンスどうこうではなくて、その人の人生プランそのものを否定しにかかっている。

もちろん、ストライクになる球もたくさんある。

「生歌でこのクオリティはやばい、ストライク」

「あれだけ踊った後に息切れぜす、音程を外さないのはやばい、ストライク」

「やばい、ストライク」

 

最後の球の評価はただ単に語彙力が乏しいのか、歌手のパフォーマンスがすごすぎて言葉を失ったのかは分からない。

ピッチャーが160㎞を超える豪速球を投げた時に、ほとんどの観客が「マジはえー」と言うのと同じで、見たままのことをただ口にしたのだとは思う。

 

最近の傾向では、2球目にあるような「激しく踊っても、息切れをしない」系の球が特に観客を沸かせるらしい。

踊りながら歌う人はもちろんのこと、アイドル系の人がドームクラスの会場でライブをすると、パフォーマンスの一環で全力で走ったりもする。

全力で走りきった後にアイドルが口パクではない生歌を披露すると、厳しいアンパイア達でさえも口を揃えて、ついこう言ってしまう。

 

「あれだけ走って息切れしないのはヤバイ」

 

「長友の評価なのかな?」と勘違いしてしまうくらいに、評価基準がスポーティーだ。

アイドル達は普段からシャトルランを中心とした、ハードなトレーニングを行なっているのかもしれない。

音楽の主な収益源が、CDからライブに移行したことも少しは関係あると思うけど、最近のアイドル系の人たちには特に運動量を求められる傾向がある気がする。

今ぐらいならまだ良いけど、もしも今後、今以上にスポ根精神を求められたら大変だ。

「運動量が足りない」

「みんなが走っている時に、アイツだけ走って無かった」

「休むな」

「水を飲むな」

「後で保健室に来い」

 

最終的には、昭和の体育教師系のアダルトビデオみたいになる。

さらに言えば、「会いに行けるアイドル」だって、今より運動量を求められてしまうと「会いに来てくれるアイドル」になってしまう可能性だってある。

それを突き詰めていけば、「デリバリーアイドル」や「自宅訪問アイドル」ということになって、完全に別の方での運動量とパフォーマンスを求められることになるだろう。

それはそれで素敵な未来だと思う。

でも、訴訟とかに発展しないように注意はしておきたい。