イクメンかイケメン、もしくは金持ち

長い間決着が着かなかった、「結婚するならイケメンと金持ち、どっちが良いか論争」

両者は常に互角の攻防を繰り広げていた。

「お金なんかより愛が大事よ。そして愛とは見た目が9割!」と熱弁をする人もいれば、「顔なんかよりも愛が大事よ。そして愛とはお金がほぼ全て!」と熱く語る人もいる。

結局は何に対して「愛」が生まれるかの違いなので、決着がなかなか着かなかった。

この戦いに終止符を打つべく、「愛と平和と金と顔、そして愛」という名の、ダライ・ラマと瀬戸内寂聴あたりが共同で設立したと噂される、由緒ある団体から凄腕の刺客が投入された。

それは、イクメンだ。

 

これでやっと、不毛で長かった戦いが終わると、誰もが安堵した。

でも、話しはそんな簡単ではなかった。

まずこの凄腕の刺客は、育児には対しては抜群に強いけど、顔面と金銭面ではめっぽう弱い。

顔面と金銭面が軟弱な奴が、「育児」という若干頼りない武器を手にしただけで、この両国の争いにケリをつけることで本当にできるのだろうかと、刺客本人も薄々疑問には思っていた。

そこで刺客は二つの手段を考えた。

まずは、どちらかに加担するという方法。

もしくは、自分の武器を増やしてどっちもやっつけるという方法。

現実的なのは前者の方であることはすぐに分かった。

「イケメンでイクメンVS顔面弱者の金持ち」なら金持ちを倒せる。

「イケメン低収入VS超面白フェイスの成金野郎、でもイクメン」では、残念な顔ペアに軍配があがる。

若干「残念な顔ペアに軍配あがんなくね?」と首を傾げそうになるけど、イケメン側の低収入っぷりが常人の想像をはるかに凌駕する低さのなので、ギリで面白フェイスが勝つ算段だ。

しかし、この刺客は後者である「どっちもやっつける」という、難しい道をあえて選んだ。

理由は簡単で、「どっちも昔っから気に食わねー」からである。

この刺客には、実は、こんな過去があった。

彼には昔、長くお付き合いをしていた女性がいた。

ある日彼は、勇気を振り絞って彼女にプロポーズをした。

 

 

 

彼は、「いつかこの女を見返してやる」と誓った。

その瞬間、彼の心の中に、突然こんな言葉が飛び込んできた。

 

「・・・力が欲しいか?」

 

かつて少年サンデーで連載されていた漫画のような、ダークな声だった。

その声は、ダライ・ラマと瀬戸内の慈悲なる思いが込められたと噂される、「愛と平和と金と顔、そして愛」という団体の門の中から聞こえたので、彼はその門を叩いた。

そして現在に至るという訳だ。

彼は「愛と平和と金と顔、そして愛」という団体のお陰で「育児」いう力を得たのだ。

しかし「育児」いうアームズでは、他の大国が持つ「金」と「顔」というアームズには太刀打ちできないことに、彼は気づいてしまった。

その時だった。

 

 

まただ!

あの時の声だ!

欲しい。今度はもっと強力な力が欲しい!

 

 

えっ?!確認とかするの!?

でも欲しい。力めっちゃ欲しいよ!

 

 

もしかして、悩んでるのかな?

 

 

いや、ちょっとムカつくタイプだったわ。

でも力は欲しいから、出来るだけ媚びは売っていくことにするわ。

 

 

めんどくさいタイプでもあったわ。

でもまあ、それはあれだな。

「顔」だな。

それか「金」だわ。

「育児」の能力とかもういいわ。