嘘をつく人と嘘をついて欲しい人

嘘をつかれて喜ぶ人はあまりいないと思います。

だから多くの人は子供の頃から「嘘をついてはいけません」と教わって育つのだと思います。

でもその反面、そこそこの年齢に達した女性に対しては「おばさん」と呼ばずに「お姉さん」と呼びなさいと教わったりもします。

矛盾してます。

でも矛盾があるのが世の中です。

「嘘つきは泥棒の始まり」であると同時に「嘘も方便」でもあるのです。

人は時として嘘を欲しがったりもします。

例えばファッション雑誌。

ファッション雑誌に載っているモデルがスタイルの良い外人さんとかだと「イケてる外人が着てても参考になんねーよ」と思ってしまいます。

だからといって自分と同じくらいイケてない奴がドヤ顔でカッコつけたポーズでイケてる服を着ていても全然買いたくなりませんし、少し腹も立ちます。

やっぱり嘘でも良いから「あの服を買えば自分もあんなふうになれるかも」と思わせてもらいたいのです。

実店舗の場合はもっと分かりやすくて、常時へん顔をキープしてるような容姿の店員さんが「私の着てるこの服が新作ですよ」と教えられてもその新作は全然欲しくなりません。

買ったあとの自分を早めに見てしまった気がしてガッカリします。

フライングガッカリです。

これも嘘でも良いから素敵な店員さんが着てる服を勧めてもらって、「もしかしたら自分もこんなふうに素敵になれるかも」と思いたいのです。

ヘアースタイルとかもそうです。

今は亡き格闘家の山本KIDとかに憧れてボーズ頭にしても、だいたい品川庄司の品川の方みたいになります。

世の中の坊主頭が品川の方しか存在しない状態であったらなら、そもそも坊主頭になんかしません。

「坊主にしたら俺もあれになるのね」と事前に分かるのでジャニーズみたいなヘアースタイルにしてもらうことにします。

つまりどっちにしろ失敗します。

むしろ坊主頭での失敗なら「髪洗うのが楽だからこれにした」みたいな言い訳もできますが、ジャニーズヘアーだと言い訳が難しくなります。

「お母さんに勝手に切られた」みたいなジャニーズ履歴書あるある風で乗り切ろうとしたら逆効果です。

「お母さんに髪切ってもらってる品川のみたいな顔のジャニーズヘアー」という長いあだ名で影口を言われることになります。

つまりこれもヘアーカタログのモデルにイケメンや美人を使いすぎたが故の悲劇なのです。

でも品川氏が色とりどりのオシャレヘアーをしてるカタログを見せてもらってもワクワクはしません。

だから、嘘でも良いんです。

嘘だとしても残酷な真実よりかは少しはマシなんです。