なんでも「病気」と診断される時代

病気に悩まされる人はたくさんいます。

でも逆に、人とは違うけど、それが何なのかよくわからなかった心や身体の不調が「病気」だとわかると安心する人もいます。

原因や対処法がわかるし、周りの人からも「病気ならしょうがないか」と納得してもらえるからだと思います。

でもあまりにも多くのことに病名がつけられると、少し困る場面も出てきます。

僕は少し前に、こんな発言をする女性と出会いました。

 

「私、すぐに人の文句を言っちゃう病気なんだよね」

 

それは病気なのだろうか。

確かにうつ病も少し昔だったら「ただ単にやる気がない奴」だったし、今では落ち着きないことの原因が「ADHD」だったりするらしい。

もしくは「病気」という言葉を少しフランクに使って「私って、人に惚れやすい病気なんだ。てへ」みたいな感じなら分からなくもない。

でもこの「文句いっちゃう病」の人は、それとは違って、深刻な表情で「人の文句を言っちゃう病気なんだよな〜」と少し困ってました。

この時僕は、対処に困って、「そっかー。病気ならしょうがないね」と言って誤魔化したけど、少しその病気が気になりもしたので「それって具体的にどんな感じの病気なの?」と僕は聞いてみた。

すると彼女はこう答えました。

 

「人の悪口が止まんないんだよね」

 

やっぱり病気じゃない気がする。

でも、少し前の時代なら「なんでも病気のせいにするなよ」みたいに一蹴できたけど、今の時代は難しい。

しかもよく考えてみれば、これが本当に病気だとしたら、一つ気になることがある。

「人の悪口を言っちゃう」というのは、本人を目の前にしても、その人の悪口を言ってしまうこともあるのだろうか。

そしたら大変だ。

口が臭い人を目の前にしたら「ゴミみたいな口臭じゃん」と本人に言ってしまう可能性があるし、話がつまらない人に対してだって「トークレベルが小4」とツッコんでしまうかもしれない。

「もしそうだとしたら気の毒な病気だな」と思い、僕は彼女に「その病気って、本人を目の前にしても悪口が出ちゃうの?」と聞いてみた。

そしたら彼女はこう答えた。

 

「いや、さすがに本人の前では言わない」

 

ただの陰口じゃん。

ちょっとした嫌な奴じゃん。

でもこうなってくると僕は、これが彼女なりの「シュールなボケ」なのかもしれないと思い始めた。

「悪口が好きなだけじゃん!」みたいなツッコミを待ってるのかもしれないと思いはじめた。

でも僕とその彼女はその時が初対面だったし、しかも彼女はそんなシュールなボケをする「キャラ」にも見えなかった。

そんなふうに悩んだ結果、僕はツッコミをしなかった。

だって、人の「病気」にツッコミを入れるのは、かなりリスキーだから。